北海道日本ハムファイターズのファンですが、関連する書籍を読んだことはありませんでした。
次に読む本に悩んでいたときに、一緒にいた妻に「栗山監督の本を読んだら?」と勧められたのをきっかけに読むことにしました。
2018年のアノ試合、監督は何を考えて采配を揮ったのか?
本書は、監督就任からの7年間を、選手のエピソードを交えながら栗山監督の視点で語られていました。
- 開幕戦のロドリゲスの先発
- 西武に8点差をひっくり返された試合
- クライマックスシリーズでのソフトバンク戦
ファイターズとしては苦々しかった試合ばかりですが、その試合の中、どのような意図で栗山監督が采配を揮っていたのかが書かれています。
選手では、四番である中田翔選手に多くのページが割かれています。
栗山監督の中田翔への愛がヒシヒシと伝わってくる内容でした。
中田翔ファンの私にはとても楽しめたし、中田翔の起用方法やキャプテン就任など、心に引っかかっていた支えがとれたような気がしました。
「稚心を去る」、これがすべてだ
本書には7年間の振り返りだけでなく、ファイターズの組織哲学、人間力の重要性、人間力を高めるヒントもふんだんに書かれています。
渋沢栄一の「論語と算盤」
渋沢さんの原動力は、「自分のためにやっていない」ということ。私心がない、私欲では動かない。
それはプロ野球選手も同じで、みんな最初は自分のためにプレーするけど、それが仲間のためになり、家族のためになり、ファンのためになる。「人のために尽くす」ということを大切にしていると、気づけば「誰かに喜んでもらう」ということが、最大の原動力になっている。
本書のタイトルにもなっている、橋本左内の言葉「稚心を去る」
結果が出ていれば、自然と「大人の心」が出てきて、誰でも「チームのために」となる。プロの世界は、特にそう。結果が出て、みんなが気分よくやれているときは、驚くほど「大人の集団」。難しいのは、結果がでていないときにどうやって「大人の心」を引き出すか。きっとそれを引き出すのが、監督の仕事なんだと思う。
「稚心を去る」、これがすべてだ。
森信三 「はきものを揃え、イスを入れる」
「朝の挨拶」「ハイという返事」「はきものを揃え、イスを入れる」
「国民教育の師父」と謳われた不世出の哲学者・森信三さんは、この3つの基本的な躾を、遅くとも小学校低学年までにやれば、他の躾はできるようになると説いた
幸田露伴「幸福三説」
成功する人は、そこに置いたものを蹴っ飛ばされても「ごめんなさい、僕がそこにおいたから」と自分のせいにして考える。失敗する人は、「俺って本当にツイてない。運が悪いよな」と誰かのせい、何かのせいにしてしまう。
本来は難しい内容だと思うのですが、栗山監督の説明はとても理解しやすいこともあって、スーッと自分の中に入ってきました。
組織論、マネージメント論、リーダー論、教育・子育て論としても、とても参考になる内容でした。
仕事で部下が増えリーダーを任されることが多くなり、家庭では子育ての悩みも増えてくる30・40代のファイターズファンなら、絶対に読むべき本だと思います。
追伸
2018年に引退した「石井裕也投手の引退スピーチ全文」を読んで泣きました。
個人的にはこれだけでも価値はありました。
追伸2
本書には、栗山監督から新入団選手へ向けてののメッセージも載っています。
ドラ1 吉田輝星投手には、
まさしくいまが「旬」。あまりに大事にとはせず、どんどん使っていったほうがいいタイプかもしれない。だから、意外とデビューは早い気がしている。
イメージは、イーグルスの則本昴大とダブる。「ちぎっては投げちぎっては投げ」、次々と相手をなぎ倒していくタフなピッチャーになってくれることを期待している」
2019年シーズンの栗山監督の采配、考えもわかる一冊です。
まさしくいまが「旬」ですね
2018年シーズンまで日本ハムファイターズで投手コーチをされていた吉井理人さん(現 千葉ロッテマリーンズ 投手コーチ)の著書の感想も書いています。
監督とコーチ、野手と投手。立場の違う2人で、色々と衝突もあったと思いますが、共通点も多く感じました。
本書と一緒に読むと、とても面白いです。お勧めします
- 作者: 栗山英樹
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2019/01/24
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