『読みたいことを、書けばいい』
元電通コピーライターの著者が「書くことの本来の楽しさと、ちょっとのめんどくささ」を伝えてくれます。文章を書く全ての人にオススメの一冊です。
読書感想
あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいい。ってなに?
よくある文章術でには「ターゲットを絞る」や「最後まで飽きさせない文章の書き方」とか、そんな技術が書かれている。
でも、この本の説明には
「バズる記事」「ターゲットに刺さる文章」。そんな「技術」を学ぼうとする人は、出発点から間違っている。あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいい。
と書かれていました。
『「技術」を学ぼうとする人は、出発点から間違っている。』
これについては、なんとなくわかります。
いろんな文章術を書かれた本を読んで、技術をわかった気になっても文章を書いても、アクセスも増えないし、イイネもつかない。 ほとんど成果は感じられない。
わたしを含めて、そんな人は多いと思います。というか大多数でしょうね。
わたしが気になったのは、次の一節。
『あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいい。』
超自己満足ですよね。
こんな考え方で本当に良い文章をかけるの? イイネが貰えるようになるの?
そんな感じで、気になったので読んでみることにしました。
自分が読んで面白い文章を書く
『あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいい』とは、『自分が読んで面白い文章を書く』ということでした。
決して『自分の内面を語る』ということではありません。
「今日は寝坊をしたので、朝食を食べていない。しかも、急いで家を出てきたので財布を忘れたから、昼食を食べることもできない。おなかがへった…」
こんな内面を語る文章が書いてあっても、知らんがな、としか言いようがない。
つまらないですよね。
これ、わたしが考えた文章なんですが、自分で読んでもつまらない。
では「自分が読んで面白い文章』とはどういうことなのか?
それは「まだだれも読んでいない文章を自分で作る」ということです。
誰かが書いた文章があるなら、書かなくていい。それを読めばいい。
言いたいことを書いている人がいないなら、自分で書くしかない。
そうして出来上がるものが「自分が読んで面白い文章」です。
文章を書くのは、めんどくさい!
あなたに『だれも書いたことのない文章』が書けますか?
そもそも『だれも書いたことのない文章』なんて存在するんでしょうか?
『事象に出会ったとき、そのことについてしっかり調べて、愛と敬意の心象を抱けたならば、過程も含め、自分に向けて書けばいい』
と本書には書いてありました。
例えば、映画の記事を書きたいと思ったとします。
まずは映画について調べます。気になったことを深く調べます。
深く調べるというのは「ネットやウィキペディア、まとめられた書籍」などではなく、映画であれば、「監督の別の作品」「オマージュされた映画」「当時の歴史背景」などでしょうか。
そこまで調べて、その作品に愛や敬意を抱けたならば、調べた過程を含めて、自分に向けて記事を書きます。
そうして出来上がった、自分で調べた事実がふんだんに盛り込まれた記事は「だれも書いたことがない文章」であり、「自分が読んで面白い文章」だと言えると思います。
「めんどくさい!」
めんどくさいけど、1つの文章にそこまで情熱をかけて書いたら楽しいだろうな。
でも、趣味で文章を書いていたり、文章で夢を追っている人こそ、時間をじっくりかけて情熱のある文章が書けるのではないでしょうか?
締め切りのあるプロには真似し難いことだと思います。
情熱のある文章を書けば、みんなに読んでもらえるブログや、イイネが貰えるツイートに繋がるはずです。
そして、その先に、なにかが待っているかもしれない。
「書くことの本来の楽しさと、ちょっとのめんどくささ」を伝えてくれる一冊。
文章を書く全ての人。
特に、文章で夢を追っている人には読んでほしいです。
気づきになったポイント
- ネットで読まれている文章の9割は「随筆」
私が髄質を定義すると、こうなる。「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
事象とはすなわち、見聞きしたことや、知ったことだ。世の中からあらゆるモノ、コト、ヒトは「事象」である。それに触れて心が動き、書きたくなる気持ちが生まれる、それが「心象」である。その2つがそろってはじめて「随筆」が書かれる。人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。
- 定義をはっきりさせよう
「手段が目的にすりかわったこと」趣味とは、倒錯であるともいえる。このように、単語一つひとつについて足場を固めていかないと、長い文章を書いたときに、曖昧なままの言葉を積み重ねてしまうことになる。
定義をしっかし持てば、自分がいま、なにを書いているか忘れることはない。
- ことばを疑うことから始める
その単語に自分がはっきりと感じる重みや実態があるか。わけもわからないまま誰かが使った単語を流用していないか。
- 誰かがもう書いているなら読み手でいよう
「自分が読んでおもしろい文章」とは、「まただれも読んでいない文章を自分で作る」ということである。
「わたしが言いたいことを書いている人がいない。じゃあ、自分が書くしかない」
- つまらない人間とは「自分の内面を語る人」
つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。少しでもおもしろく感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。
- 感動が中心になければ書く意味がない
調べることは、愛することだ。自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
- 「起承転結」でいい
事象に出会ったとき、そのことについてしっかし調べて、愛と敬意の心象を抱けたならば、家庭も含め、自分に向けて書けばいい。
ともかく重要なことは、「事象に触れて理論展開し心象を述べる」という随筆に、起承転結ほど効率よく使えるコード進行はないということだ。
- 書くことは世界を狭くすることだ
書くことは世界を狭くすることだ。しかし、その小さななにかが、あくまで結論として、あなたの世界を広くしてくれる。
- いつ書くの。どこで書くの。
あなたが書いたものは、あなた自信が読むとき、たった1日だけ、あなたを孤独から救ってくれる。自分は、なにかに触れた。心が動いた。そのことを過不足なく、なんとか、かけた。自分の寂しい世界を一瞬、追い越した。何度も読み返す。しかし、何度読んでも文字列は変わらない。そしたら、また書くときだ。
今日から取り入れること
面白かった本は、参考文献や本の中で紹介された本を読んでみる。
本以外でも、面白い事象に出会ったら、深く調べてみる。
文章は「起承転結」で書く
こんな人にオススメ
- 文章を書く全ての人
- 文章で夢を追っている人
- 就職活動中の人
履歴書の書き方も紹介されてました。
就職活動中の人にも参考になると思います。
とても読みやすい文体で、一気に読めました。
オススメです。ぜひ読んでみてください。
書籍の情報
- 作者: 田中泰延
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/06/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトル;読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術
著者:田中泰延
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2019年6月13日
価格(税抜):1500円
読み終わるまで;1時間30分
<出版社の紹介ページより引用>
「バズる記事」「ターゲットに刺さる文章」。そんな「技術」を学ぼうとする人は、出発点から間違っている。あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいい。電通コピーライターとして24年、自分が読みたいものを書くために退職して「青年失業家」へ。Web記事500万PV超、Twitterフォロワー46000人超。多くの支持を得るwebライター初の著書。全く新しい文章講義、開講です。
追伸
ツイッター(@ketsuakira)でも書評をつぶやいていますので、試しに見てみてください。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。