SHIFT:イノベーションの作法 の読書感想です。
最近は、読書感想を書き終わったら、次に読む本を決めてから寝るのがルーティンになってます。
本を選ぶときは、アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買ってます」を参考にすることが多いんです。
そこで表示されている中で、最も高額だった本がSHIFT:イノベーションの作法。
税込価格は¥4,374。
一般的なビジネス書の3倍という強気の値段です。
かなり悩んだんですが、わたしが悩んでるってことは、ほかの人も悩んでるはず。
人柱になってみよう!
そんな心意気で買ってみることに。
時間は深夜1時を過ぎてました。深夜のテンションって怖いですね。
著者の濱口秀司さんは、USBフラッシュメモリやイオンドライヤーのコンセプト開発を手がけた、なんだか凄い人。
濱口さんは、タイトルの「SHIFT」をこんな感じで定義しています。
これからは発想資本主義という第四の時代に入りつつある。
最新の情報を持ってるのは当たり前。
そうした情報に独自の視点で新たなアイデアを生む発想力と実現力のセットが価値につながる。
これこそが「SHIFT」。
内容は、濱口さんが過去20年にわたり定義・実践してきた「SHIFT」について説明した後、次の3つのパートごとのセオリーとアプローチを解説しています。
・イノベーション発想
・インターナルマーケティング
・エクスターナルマーケティング
さらに、この3つにまたがる、時間管理やコラボレーション、人材教育の課題と勘所が解説されています。
イノベーションの発想方法の説明はとてもわかりやすかったです。
この方法を知っていれば、自分でもイノベーションを起こせるかもしれないと思えました。
イノベーションの例として紹介された「新国立競技場」や「コールマンの火災報知器」の話は、濱口さんの思考の流れが解って、とても面白かったです。
しかし、それを実践していく方法として紹介された「β100」や「ディシジョン・マネジメント」は、個人が取り入れるには難しいと思いました。(会社でも難しいと思います)
私の1番の気づきになったのは、
「90:10の法則 」
です。
「90:10の法則」とは、イノベーティブなアイデアの90%は、プロジェクト全体のうち開始直後10%の期間内に思いついているという事実。
プロジェクトが100日あれば最初の10日のうちに、ほとんどプロジェクトは”答え“を思いつく。
その理由は3つ
1、手元にある情報がシンプルなため、ハンドリングしやすい。
2、情報が本質であり、核心をついている。
3、情報が少ないためにかえって想像力が働く。
具体的な手法は、こんな感じ
1、あらゆるプロジェクトで「初日から答えを出す」というルールを設ける。
2、初日の夕方には、必ず一定の結論「アイデア」と「切り口」を出す。
3、翌日は情報が増えるので、その情報を加味して新たなアイデアと切り口を挙げる。
この「90:10の法則」は、プロジェクトに対してだけでなく、旅行の行き先や行程。購入する家電や車、家のリフォーム。お中元とかプレゼントの選定など、様々なシチュエーションで使えると思います。
まずは、一番簡単にできる「初日から答えを出す」を取り入れてみます。
これ以外の気づきには、以下のものがありました。
・人間の脳は合理的にできていない。 別々の情報源から少しづつ異なる情報を入手すると、自分の頭の中で勝手に組み立てる。しかも、頭の中で推測して出来上がった情報のパワーは、単に知らされた伝聞情報よりも印象が強い。
・ビジネスモデルにおけるSHIFTを考える際は、大まかに次の4つの問いを立てる。
1、いかにして立ち上げるか(起動) 2、いかにして伸ばすか(成長) 3、いかにしてライバルからの攻撃を防ぐか(防御) 4、いかにして儲けるか(利益)
・イノベーションは3条件を兼ね備えたもの
1、見たこと・聞いたことがない。 2、実現可能。 3、議論を生む
・バイアスを破壊するのは、やみくもに壊すのではない。 バイアスの構造的に認識して空白地帯を見つけだして、SHIFTにつながるイノベーション発想ができる作法がある。
1、バイアスを構造化(可視化)する。 2、バイアスのパターンを壊す。 3、強制発想する
・商品の認識価値と認識価格がバランスする「フェアバリュー・ライン」を考えて、価格決定や商品投入をする。
フェアバリュー・ライン上なら、顧客はそれを正当と判断し「損でも得でもない」と感じる。
・プレゼンは一度一会のコミュニケーション。1秒でも1ミリでもスムーズかつ確実に相手に内容を伝える重要な要素は、3つ。
1、パッションを持つ。 2、ピラミッド型で話す(結論を先に述べる) 3、階段状に合意を取り付ける(「合意できる内容」と「議論すべき内容」を交互に織り交ぜて話す)
・コラボレーションで「1+1=2を超える成果」を出すには、議論をしないこと
コラボレーションで重要なのは「コミュニケーションの量」ではない。重要なのは「個人が考え抜くこと」と「コミュニケーションの質を高めること」
個人で考え抜いたからこそ、「完璧にシンプリファイされたコンセプト」(アイデアと切り口)を語ることができる。それを聞く側も、一度自分の頭の中で考え抜いているからこそ、その作品の面白さや、切り口の斬新さを即座に理解できる。
・育成には二つのパターン (この二つの方法を混ぜても成功しない)
1. 師匠を超える可能性のある育成(時間がかかる)
カルチャーを教える → スキルを教える → 手順書をみせる → To-Doリスト
2. 効率的な育成 (師匠を超えない)
To-Doリスト → 手順書をみせる → スキルを教える → カルチャーを教える
・育成は「どの人材を、どのぐらいの時間で、どのレベルまで到達させるのか」を設計しなければダメ
全体的に固い感じの文章で、私とってはレベルが高くて濃い内容だったので、難しく感じることもありました。
でも、実例がたくさん取り上げられていて、読みやすかったです。
本書で紹介された手法を全て取り入れるのは難しいですが、SHIFTの概念を理解して、イノベーションを生み出す思考方法を手に入れる気づきになりました。
なによりも、イノベーションを生み出し続ける人の考え方を知り、思考の流れを追体験できたのは、とても刺激的で面白かったです。
定期的に読み返したいと思います。
最後に
本書は4,374円と高額でしたが、読み終わった今は「損でも得でもない」と感じてます。
わたしは満足しました。
これがフェアバリューなんでしょうね。
著者の凄さを再認識しました。
- 作者: 濱口秀司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/06/27
- メディア: Kindle版
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追伸
ツイッター(@ketsuakira)でも読書感想をつぶやいています。
ご覧いただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。