本のタイトルは「insight」 直訳すると「洞察力、見識」「視野に入る」です。
これだけだと、どんな内容かわかりにくかったんですが、副題「いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力」で興味がわきました。
でも、価格が2000円(税抜き)だったので躊躇してたんですが、Amazonの説明で
Strategy+Business誌ベストビジネスブック2017選出!
Business Insider誌ベストビジネスブック2017選出!
と書いてありまして、よくわからないけど、がっかりすることはなさそうなので読んでみることにしました。
本の内容は、「自己認識とは何?」「自己認識のメリット」「自己認識を高める方法」「なぜ、自己認識が重要なのか?」など、自己認識に関することを色々な角度から説明するものでした。
1つの説を紹介するために、2〜3の参考文献や実例がでてくるので、納得しながら読み進めることができました。
ただ、これは仕方がないのですが、参考文献や実例が多いので、とにかく長かった。(わたしは読了までに8時間くらいかかりました。)
- リンカーンが中佐として小隊を率いていたときの大きな失敗。
- マヤ文明の衰退の理由。
- ギリシャ神話のイカロスの話。
- ナイジェリアでの、ポコ・ハラムによる女子生徒の誘拐事件
- ピクサーの社長エド・キャットムルや、フォードの元CEOアラン・ムラーリーへのインタビュー
- 著者によるマインドフルネスの瞑想体験記
などなど、本書には多種多様な実例(または逸話)がでてきます。
どの話も読み物として、かなり面白かったです。
「あれ? 今、何の本読んでるんだっけ? 」
そんな風に思うことも多々ありました。
もちろん、本題の「自己認識」についても、深い内容になっています。
私がこの本につけたハイライトは100を超えていました。
他の本では10〜20なので、かなり濃い内容だったことがわかると思います。
以下、わたしの気づきになった部分です。
- 自己認識は、21世紀にとても重要なスキル。 共感力、影響力、説得力、コミュニケーション力、協調力などは、すべて自己認識がもとになる
- 自己認識は内的自己認識と外的自己認識の2種類ある。 内的自己認識が高いと、本来の自分に見合った決断をくだせるので、幸せで満足度が高い。 外的自己認識が高いと、他人の視線から自分自身を正確に理解できるので、強固で信頼度の高い関係を築ける。
- 自分が唯一無二で、特別で、周りよりも優れている、自分の欲求は周りよりも大切で、他人と同じルールには縛られない。 という「自分教」というカルトが蔓延している。(自尊心を尊重する教育の悪影響)
- 失敗したとき、「なぜ」ダメだったのかではなく、「何」がダメだったのかを考える。(「なぜ」の質問は自分を追い詰める。「何」の質問は自分の潜在的な可能性に目を向けさせる。)
- 「日記にポジティブな出来事を書くほど、精神的なメリットを得られる」は迷信。ネガティブな出来事は検証し、ポジティブな出来事は考えすぎないほうがいい。
- 自己認識にとって、内省は破壊的なもの。反芻は破滅的なもの。
- 瞑想しないマインドフルネスの方法 (リフレーミング、比較と対比、日々のチェック)
- 自己認識が最も必要な人こそ、最もその必要性を理解していない。(しかも、他人に自己認識を促す行為は、うまくいってもリスクがある。最悪の場合は破滅的な結果になる…)
- 自己認識が低い人たちからの防衛方法(無抵抗に流される、リアクションをコントロールなど)
この中で、一番の気づきになったのは、
「 自己認識にとって、内省は破壊的なもの。反芻は破滅的なもの。」です。
以下、「反芻」に関して気になった文章の引用です。
ほとんど全員あるはずだ。何らかの会話が頭のなかで繰り返し再生され、自分がやったこと(あるいはやらなかったこと)について自分を責めたり、なぜ思い描くような自分になれないのかを考えすぎて塞ぎ込んでしまったりする。あれだけの人数の前でなんて恥ずかしいことをしてしまったんだ。何でこんなひどい関係を続けているんだ? どうしてこんなクッキーを食べるのをやめて、休暇中に増えた体重を減らせないんだろう? このサイクルにはまったことがある人なら誰でも知っているように、こうした問いを自分に投げかけるのは、一度や二度や三度ではないーー何度も何度も、ほとんど他のことが考えられないくらい自分に問いかける。
こうして自分の恐怖や、欠点や、不安にひたすらこだわる状態には名前がついている。それは「反芻」と呼ばれ、それは内省の双子の悪魔だ
「もしバックミラーに映ったものばかりを見て時間を取りすぎると、きっと信号機にぶつかっちゃうよ」。それを裏付けるように、反芻という行為はたえず感情を分析し続けているにもかかわらず、自分の感情を特定する正確性が低いことが研究で示されている
「目標は反芻をゼロにすることじゃない。それは人生の一部だから。私の目標は反芻しているということをできる限り素早く認識して、そこから脱する戦略を用いること、そして反芻している自分に腹を立てないことかな。」
「反芻は嵐のようなもの。やって来ると、すべてに雨が降り注ぎ、去っていくと、現れるのは青い空。へんな言い方だけど、私の対処法は、反芻をきにしないこと!」
反芻に囚われているときにできる最良の行動のひとつは、信頼する誰かに事実確認をしてもらうことだと言っている。それをおこなえば、たいてい希望と学びが待っている。
自分に「なぜ」と問うことは無意味かつ危険だ。日記は必ずしも自己認識を向上させるものではない。そして内省の姿を装った反芻は、想像以上の悪影響がある。
これらの文章を読んで、自分自身、かなり反芻をしていたことに気がつきました。
過去の出来事が頭に急に浮かび、あの時「なぜ」あんなことをした? 「なぜ」あんなことを言った?「なぜ」しなかった?
「なぜ」「 なぜ」「 なぜ」の問いかけが続きます。
反芻ではなく、内省だと思っていたし、「なぜ」の問いかけることで、自分の中の答えを見つけ出せると思っていました。
良いことだと思っていたんです。
この反芻が頻繁に現れる時期があって、その時期は、チャレンジや決断する意欲がなくなって、自然と現状維持を選ぶようになってました。
わたしと同じように反芻で悩んでる人は、多いと思います。
そんな人たちに、この読書感想が、なにかの気づきになれば嬉しいです。
反芻に対する、具体的な対策方法も載ってるので、気になる人は読んでみてください。
これ以外にも、
- 怒りっぽい上司が悩みながら改善していくエピソード (逆に、改善せずに破滅していくエピソードも)
- 自己認識をもつチームの作り方
- 他人からフィードバックをもらう方法
- 予想外の厳しいフィードバックを受け止める方法
- 「あなたの価値観」「あなたの情熱は何?」「あなたは自分教というカルトの一員ですか?」「あなたはどれくらい謙虚?」などのセルフチェックの方法
など、実用的なものが数多くあります。
会社や家庭で怒りっぽくなってしまう人
本当の自分がなんだかわからずに、悩んでる人
自分は周りから正しく評価されていないと感じている人
「なぜ」という問いを自分にしてしまう人
怒りっぽい上司や家族に悩んでいる人
会社、チーム、学校などの組織に悩みのある人
そんな人にオススメできます。
そして、過去の自分の選択に悩んでる人、反芻してしまう人には読んでみてほしいです。
insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
- 作者: ターシャ・ユーリック,中竹竜二,樋口武志
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2019/06/26
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追伸
ツイッター(@ketsuakira)でも読書感想をつぶやいています。
ご覧いただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。